南 祐和さん・愛子さん
本場奄美大島紬織元「夢おりの郷」会長
伝統とは、常に新しい挑戦を積み重ねること
「伝統とは、常に新しい挑戦の積み重ねである」。私はこの言葉を大切にしながら、大島紬のものづくりに携わってきました。
私の父の代から、家族で細々と大島紬を作っていました。やがて工場を龍郷町へ移すことになった際、図案から染め、織り、仕上げまで、できる限り自分たちの手で行い、その仕事を皆さまにも実際に見ていただける場所をつくりたいと考えました。そうして誕生したのが「夢おりの郷」です。
大島紬は、多くの工程と職人の手を経て、長い時間をかけて完成します。その一つひとつの仕事に意味があり、どの工程が欠けても一反の紬にはなりません。だからこそ、職人の仕事を間近でご覧いただき、体験を通じて、その技術の奥深さや大島紬の素晴らしさを知っていただきたいと思ってきました。
現在は、大島紬の原料となる絹も奄美産にこだわり、途絶えかけていた奄美での養蚕を復活させる取り組みを進めています。図案、締め、染め、加工、製織までを一貫して行い、奄美の風土から生まれる大島紬を、奄美の手で未来へつないでいくことを目指しています。
大島紬の生産量は年々減少し、ものづくりを支える職人も少なくなっています。伝統を守るためには、昔と同じことを続けるだけではなく、時代に合った新しい工夫や挑戦が必要です。同時に、職人が誇りを持ち、安心して仕事を続けられる環境を整えることも、私たちの大切な役目だと考えています。
今では、私の想いを息子たちが受け継ぎ、新たなものづくりに挑戦しています。形や方法は時代とともに変わっても、大島紬に向き合う心と、職人の技を次の世代へつなぐという願いは変わりません。
このたび、私に続いて妻の愛子も、春の叙勲において「瑞宝単光章」を拝受いたしました。夫婦そろってこのような栄誉をいただけたことを大変光栄に思います。これも、長年にわたり私たちの仕事を支え、励ましてくださった職人の皆さま、地域の皆さま、そして大島紬を愛してくださる皆さまのおかげです。心より感謝申し上げます。
これからも「夢おりの郷」が、職人の技と想いを受け継ぎ、大島紬の新たな可能性を生み出す場所であり続けることを願っています。皆さまに大島紬を身近に感じていただき、その魅力を次の世代へともに伝えていただけましたら、これほどうれしいことはありません。