中山 芳一さん
奄美報歳蘭「芳」店主
奄美に受け継がれてきた、希少な蘭を次の世代へ
奄美報歳蘭は、かつて奄美大島の最高峰・湯湾岳に自生し、「大和報歳」「宇検報歳」と呼ばれていた蘭です。ここ数十年は自生している姿が確認されておらず、愛好者たちが栽培技術を受け継ぎながら、大切に守り育ててきました。
花色は、淡い黄緑色の「シロ花」と、赤褐色や紫褐色の斑点が入る「アカ花」の二種類があります。旧正月前後の1月から2月ごろに開花し、花は1か月から2か月ほど楽しむことができます。
優雅な香りを漂わせ、かわいらしさと気品、そしてどこか崇高な雰囲気をあわせ持つ姿は、多くの人の心を魅了してきました。愛好者の間でも人気が高く、現在ではたいへん希少価値の高い蘭となっています。
私は、この奄美報歳蘭を一鉢ずつ大切に育てています。花の美しさや香りをお部屋で楽しんでいただくのはもちろん、大切な方への贈り物としても喜んでいただけたら嬉しく思います。
一方で、奄美報歳蘭を守ってきた愛好者の高齢化が進み、栽培を続ける人は少なくなりました。現在、生産を担っているのは私一人となり、栽培技術を受け継ぐ後継者を育てることが最大の課題です。
奄美の自然と人の手によって守り継がれてきた、かけがえのない蘭。その命と栽培の技を次の世代へつなぎ、これからも多くの方に奄美報歳蘭の美しさを届けていきたいと思っています。