田中 多鶴子さん
ぬぬあすび(布遊び)
箪笥に眠る大島紬に、新たな息吹を
私は、本場奄美大島紬の着物をリメイクし、洋服や小物などを制作しています。
作品に使うのは、状態の良い大島紬を一枚一枚確かめながら厳選したものです。着物を丁寧にほどき、生地を洗い、柄や風合いを見ながら裁断し、縫製まで一つひとつ手作業で仕上げています。
これまでに、洋服やベストをはじめ、ティッシュカバー、ボトルカバー、シュシュ、ブローチ、テディベアなど、さまざまな作品を手掛けてきました。同じ柄の生地であっても、どの部分を使い、どのように組み合わせるかによって表情が変わるため、完成する作品はどれも個性のある一点ものです。
大島紬は、奄美の人々が長い年月をかけて受け継いできた、誇り高い伝統文化です。けれども、着る機会が少なくなり、箪笥の中で大切にしまわれたままになっている着物も少なくありません。
「この美しい大島紬を、もう一度、暮らしの中で楽しんでもらいたい」。そんな想いを込めて、着物としての役目を終えた大島紬に、新たな息吹を吹き込むような作品づくりを続けています。
これまでは、完成した作品を知人の方々に差し上げることが多く、喜んで使っていただけることが何よりの励みでした。また、喜界町生涯学習講座の指導者として、ものづくりの楽しさや培ってきた技術を皆さんにお伝えする活動にも携わっています。
今回、より多くの方に大島紬の美しさや手触り、柄の魅力を知っていただきたいと思い、初めて作品を広く皆さまへお届けすることにしました。
伝統の良さを大切にしながら、今の暮らしに取り入れやすい形へ。手に取ってくださる方に末永く愛用していただけるよう、これからも一品一品、心を込めて丁寧に作り続けていきたいと思っています。